タイ、地雷爆発を受けカンボジアとの協定を停止

東南アジアの両国は、百年以上前にさかのぼる国境の一部をめぐって紛争を抱えています。しかし、7月の戦闘は、カンボジアが地雷を設置しタイの部隊が負傷したとするタイ側の主張をきっかけに発生しました。

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タイは、これまで数か月間拘束していたカンボジア兵18人を釈放することを約束しました。/ 写真: ロイター / Reuters

タイは月曜日、国境付近で地雷が爆発し、タイ兵2人が負傷したことを受け、隣国カンボジアとの和平合意の実施を停止すると発表しました。

この合意は、ドナルド・トランプ米大統領の仲介の下で取りまとめられたもので、7月に発生した国境衝突によって少なくとも43人が死亡、両国で30万人以上の住民が避難する事態となった際の敵対行為を終わらせ、恒久的な和平を確保することを目的としていました。

タイ王国陸軍は声明で、シーサケット県での地雷爆発により1人の兵士が脚を重傷、爆風の圧力で別の兵士が胸の痛みを耐えたと明らかにしました。

「揺るぎない決意」

カンボジア当局は今回の事件について直ちにコメントしていませんが、これまでに国境沿いに新たな地雷を設置したとのタイ側の主張を否定しています。

カンボジア国防省は月曜日、声明で平和に対する「揺るぎない決意」を表明しました。

タイとカンボジアは、7月下旬にトランプ米大統領や、中国外交当局者、さらに東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長を務めるマレーシアのアヌワル・イブラヒム首相の仲介を経て、初期的な停戦に合意していました。

10月に署名された新たな共同声明では、両国が国境沿いで地雷除去作業を行い、重火器を撤去するとともに、ASEAN地域機構が組織する停戦監視チームの立ち入りを認めることが盛り込まれていました。

また、タイはこれまで数か月間拘束していたカンボジア兵18人を釈放することを約束していました。

署名を受けて、カンボジア国防省はタイとの国境から重火器や破壊力の高い兵器を撤去すると発表しました。

しかし両国は停戦違反をめぐる非難の応酬を続けており、専門家は、今回の紛争の核心となっている領土問題を裁定する包括的な和平協定は依然として実現していないと指摘しています。