高市首相、福島第一原発を視察 廃炉完了へ国が責任持つ方針

政府は廃炉作業とあわせ、福島県の復興・地域再生計画を積極的に進める姿勢です。

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高市早苗首相は就任後初めて福島県を訪れ、福島第一原発の廃炉作業や復興計画について「国が責任を持って最後まで取り組む」と述べました。 / AP

2025年12月2日、高市早苗首相は就任後初めて福島県を訪れ、福島第一原発の構内を視察しました。首相は、原発の廃炉作業や除染土の最終処分、帰還困難地域の復興に関し「国が前面に立ち、最後まで責任を持って取り組む」と述べました。

記者団に対し、首相は「除染土を福島県外で最終処分する」方針について「国としての約束だ」と表明。さらに、帰還を希望する住民が安全に戻れるよう、除染やインフラ整備を進め、将来的に避難指示を解除する決意を示しました。

また、首相は今回の訪問が10月の就任後初の復興地視察であることに触れ、自らの所信として「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」との考えを改めて強調しました。

さらに、木原官房長官は閣議後の記者会見で、福島・東北の復興を現場主義で推進することが内閣の最重要課題であると説明しました。

今回の訪問は、来年で震災から15年を迎える中で、復興・再生に向けた現場確認という重要な意義を持つと述べ、政府として被災地に寄り添いながら責任を持って取り組む姿勢を強調しました。

福島第一原発の廃炉作業は、使用済み燃料プールからの燃料取り出しや、溶融燃料デブリの回収など極めて高度で困難な工程を含み、長期にわたるプロセスとなっています。

最新の報告では、燃料デブリの取り出しは試験段階ながら成功しており、安全確保と技術の確立が進んでいます。

政府は、廃炉作業と並行して、福島の復興・地域再生計画も推進する構えです。中間貯蔵施設に保管された除染土の最終処分や、地域の産業再生、雇用創出などを通じて、廃炉と復興の両立を目指す意向を示しています。

首相は、「2030年以降の道筋も示す」と述べており、廃炉完了後の地域の将来像や復興計画の具体化に向けた意思を示しました。