中国との外交対立で日本産水産物が窮地に
中国側の輸入規制は、日本の水産業者にとって大きな打撃となり、特にホタテやナマコなどの輸出に影響が出ています。
中国と日本の外交関係が緊張を深める中、日本産水産物が再び経済的な圧力の矢面に立っています。新しく就任した高市早苗首相の発言をきっかけに、台湾有事における集団的自衛権行使の可能性を示唆したことに対して、中国側は強く反発し、報復措置を強めていると報じられています。
中国外務省は、日本からの水産物輸入について「現在の政治状況下では市場が成立しない」と述べ、事実上の全面禁止を示唆しています。
また、中国は日本からの輸出企業に対し、輸出先施設を中国側の基準に合わせて再登録することを求めており、これは経済的な反撃だけでなく、安全保障を背景とした圧力との見方も出ています。
一方で、日本政府は5月に技術的な要件で中国側と合意し、一部地域を除いて水産物の輸入再開の見通しを立てていました。
しかし、この合意にもかかわらず、中国は東京都や福島県など10都県産の水産物に対する輸入規制を継続する方針を示しており、輸出業者にとっては不透明感が依然として強い状況です。業界関係者からは、中国市場への依存が改めてリスクとして浮き彫りになったとの声も聞こえています。
特に、日本のホタテやナマコなどは、かつて中国が主要市場の一つでしたが、今回の対立でその構造的な脆弱性が露呈しています。
さらに、観光や文化面にも影響が広がっています。中国本土や香港からの訪日客は全体の約5分の1を占めており、複数の航空会社は年内の日本行き便について払い戻しを実施、すでに約50万件の予約がキャンセルされていると見られます。
学術交流や文化イベントも中止が相次ぎ、日本の芸能人や映画上映、音楽イベントにも影響が出ています。
こうした状況に対応し、一部の日本の歌手や俳優は、中国への支持を示すメッセージを発信し、事態の悪化を避けようとしています。