日中外相が電話会談 懸案協議とともに「戦略的互恵関係」推進で一致

中国外務省によると、王毅氏は会談の中で「建設的な日中関係を築くには、相互尊重と内政不干渉の原則が重要だ」と述べ、台湾や歴史認識に関する中国側の立場を改めて強調しました。

茂木大臣は、「国際秩序が不透明さを増す中で、日中両国には地域と世界の安定に責任を共有する立場がある」と述べ、外交対話の継続と実務的な協力強化を呼びかけました。/ 写真: ロイター

日本の茂木敏充外務大臣は10月28日、中国の王毅外務担当国務委員・外相と就任後初となる電話会談を行い、両国が「戦略的互恵関係」を包括的に推進していく方針を確認しました。会談はおよそ30分にわたって行われ、地域情勢や二国間の懸案について率直な意見交換が行われました。

茂木大臣は、レアアース(希土類)輸出規制に対する懸念や、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国軍の活動増加について日本側の立場を伝えました。

また、中国で拘束されている日本人の早期解放を改めて求め、人権と法の支配を重視する姿勢を示しました。

一方、中国外務省によると、王毅氏は歴史問題および台湾に関する中国側の基本的立場を説明し、「日中関係の政治的基盤を守り、正しい方向に沿って安定的な発展を図るべきだ」と述べました。

外交関係者によると、王毅氏の発言は、高市早苗首相による靖国神社参拝の可能性に対するけん制や、日本側に対して台湾との関係強化を慎重に進めるよう求めたものとみられます。

両外相は、今後も対話を継続し、実務協議を通じて信頼醸成を図ることで一致しました。また、年内にも高市首相と習近平国家主席の首脳会談を実現させる方向で調整を進める見通しです。

今回の電話会談は、高市内閣発足後初の外相レベルでの接触となり、日中両国が緊張と対立を乗り越え、協調へと舵を切る試金石となるか注目されています。