オランダで貧困率が5年ぶりに上昇

オランダでは昨年、エネルギー補助の終了が家計収入を圧迫し、貧困状態で暮らす人が50万人以上に上りました。貧困の増加は5年ぶりです。

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2023年2月25日(土)、オランダ・アムステルダムで撮影された、アムステルダム中心部のスカイライン / AP

オランダの統計機関が水曜日に発表した最新の統計によると、昨年、同国で貧困状態にある人は50万人以上に上り、貧困率は5年ぶりに上昇しました。

オランダ中央統計局(CBS)は、この増加について、数年間続いていた貧困の減少傾向の後に起きたもので、エネルギー危機の際に導入された一時的な支援策であるエネルギー補助の打ち切りが主な要因だとしています。

CBSと国立家計経済研究所、社会・文化計画局が共同で策定した新たな貧困の定義では、住居費やエネルギー費、医療費などの主要な固定支出を支払った後に、他の基本的な生活必需品に充てる十分な収入が残らない人を「貧困」としています。

昨年末に導入されたこの改定された算出方法では、当初、2023年の貧困水準は低下したと示されていました。

しかしCBSは、エネルギー補助の廃止により昨年は再び貧困が増加し、少なくとも3年連続で貧困状態にある人がすでに13万人以上に上っていると明らかにしました。

過去数年間は、エネルギー補助に加え、2023年の最低賃金の引き上げや、約60万世帯に適用されていた比較的低い家賃などが、貧困の減少に一部寄与していました。また、新型コロナウイルスの流行期に実施された一時的な支援策も、貧困水準の低下を後押ししました。

就労者に最も深刻な影響

CBSのデータによると、現在、貧困状態にある人々の中で最も多いのは就労者です。影響を受けている人のうち、48%は就労による収入があり、29%は社会保障給付に依存していました。

CBSのピーター・ハイン・ファン・ムリヘン主任エコノミストは、「就労している人の中にも、非常に多くの貧困層がいます」と述べました。

同氏は、就労貧困層には、厳しい1年を過ごした自営業者に加え、労働時間が短く、貧困線を上回る収入を得られていない被雇用者が含まれると指摘しています。

統計機関はまた、健康面での大きな格差も指摘しました。貧困状態にある人のおよそ10人に4人が自身の健康状態を「悪い」と評価しており、低所得層では長期的な疾病を抱える人の割合が高くなっています。

平均寿命も全体と比べて短く、男性で9年、女性で7年短いとしています。

今後について、オランダ経済政策分析局は、貧困率が2025年と2026年に3%未満に低下すると予測しています。一方で、ファン・ムリヘン氏は、こうした見通しには不確実性があり、依然として逼迫する労働市場の動向に大きく左右されると指摘しました。