安倍晋三元首相銃撃事件 山上被告の母親が裁判で証言予定

山上徹也被告による安倍晋三元首相銃撃事件は、2022年7月8日に奈良市で発生し、全国に衝撃を与えました。

弁護側は、被告が事件の背景として教団への恨みを抱いていたことを示し、量刑軽減を目指す方針です。/ 写真: AP

奈良市で2022年に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が、今月28日から奈良地裁で始まります。

21日には公判前整理手続きが行われ、被告の母親が弁護側証人として法廷に出廷することが決まりました。関係者によれば、母親の証言は、被告の動機や家庭環境を明らかにする上で重要な位置を占めるとみられています。

弁護側の主張と証人尋問

弁護側は、母親が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に信仰を持ち、山上被告が小学生の頃から高額の献金を行った結果、家計が破産したことが事件に影響したと主張する方針です。

この主張を立証するため、母親を含む5人の証人への尋問を請求しており、宗教学者や関係弁護士も証人リストに含まれています。

弁護側は、被告が事件の背景として教団への恨みを抱いていたことを示し、量刑軽減を目指す方針です。

検察側の反論

一方、検察側は、教団の影響は動機の一部に過ぎず、刑の重さを決める主要な要素とはならないと主張しています。

検察側は、被告が手製の銃を複数製造し、試し撃ちも行った計画性や、多くの観衆の前で銃撃した危険性を重視すべきだとしています。

警察関係者や事件の目撃者、佐藤啓参院議員など7人の証人を立てる方針です。

公判の流れと今後の予定

地裁の発表によると、公判は予備日を含めて全19回予定されており、11月20日から12月4日まで5回にわたり被告人質問が行われます。

最終的な結審は12月18日、判決は来年1月21日に言い渡される見込みです。公判前整理手続きでは、証拠や争点を絞り込み、刑の重さに影響を与える要素を整理しました。

21日の手続きには被告本人も出席し、静かに進行を見守ったと伝えられています。

事件の背景と社会的影響

山上被告は奈良県警の調べに対し、「教団に恨みがあった。安倍氏が教団とつながりがあると思い狙った」と供述していました。

このため、裁判では旧統一教会の影響がどの程度事件に関わったかが主要な争点となる見通しです。全国的に注目される裁判であり、裁判員が刑の重さをどのように判断するかが焦点となっています。

SOURCE: NHK