カタールエナジーのCEO、サアド・アル=カービ氏は19日、ロイター通信に対し、イランの攻撃によりカタールの液化天然ガス(LNG)輸出能力の約17%が停止し、年間およそ200億ドルの収入減につながる可能性があると明らかにしました。これにより、ヨーロッパやアジアへの供給にも影響が及んでいます。
今回の前例のない攻撃では、カタールにある14のLNG生産ラインのうち2つと、ガス・トゥ・リキッド(GTL)施設2か所のうち1か所が被害を受けました。その結果、年間1280万トンのLNG生産が、今後3年から5年にわたり停止する見通しです。
アル=カービ氏は、「ラマダンの時期に、兄弟国であるイスラム国家からこのような攻撃を受けるとは想像もしていませんでした」と述べました。なお、同氏はカタールのエネルギー担当国務大臣も兼任しています。
こうした攻撃は、イスラエルによるイランのガスインフラへの攻撃を受け、イランが湾岸地域の石油・ガス施設を標的に報復を行った直後に発生しました。
さらにアル=カービ氏は、被害を受けた2つの生産ラインの影響により、イタリア、ベルギー、韓国、中国へのLNG供給を含む長期契約について、最大で5年間の不可抗力(フォースマジュール)を宣言せざるを得ないと説明しました。
「これらは長期契約であり、不可抗力の宣言が必要です。すでに一度宣言していますが、その際はより短期間でした。今回は、必要な期間だけ継続することになります」と語りました。
エクソンモービルの関与と副次的影響
カタールエナジーは、ラス・ラファンの生産拠点が再び攻撃を受けたことを受け、すべてのLNG生産について不可抗力を宣言しました。生産再開には、まず戦闘の終結が必要だとしています。
被害を受けたLNG施設には米石油大手エクソンモービルが、GTL施設にはシェルが出資しており、特にGTL施設の修復には最大で1年かかる可能性があります。エクソンモービルはLNGのS4ラインに34%、S6ラインに30%出資しており、S4ラインの被害はイタリアのエジソンやベルギーのEDFTへの供給に、S6ラインの被害は韓国のKOGASや中国のEDFT、シェルへの供給に影響を及ぼしています。
今回の攻撃により、地域は10年から20年後退したとの見方も示され、「安全な拠点」という認識が揺らいだと指摘されています。
影響はLNGにとどまらず、コンデンセート輸出は約24%、液化石油ガス(LPG)は13%減少する見通しです。さらに、ヘリウム生産は14%、ナフサや硫黄の生産もそれぞれ6%減少すると予測されており、インドの飲食店で使われるLPGから、韓国の半導体産業におけるヘリウム需要まで、幅広い分野に影響が及ぶとみられています。
被害を受けた施設は約260億ドルを投じて建設されたものであり、関係者は今回の攻撃について強い懸念を示しています。また、「イスラエルとイランの問題は当事国間のものであり、地域全体やエネルギー施設を巻き込むべきではない」として、いかなる国であっても石油・ガス施設を標的にすべきではないと強調しています。










