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インド、トランプ氏の「地球上の地獄」「ノートパソコンを持つギャング」発言後も衝突を回避
ニューデリーはトランプ氏のインドに関する発言を「無知で不適切かつ品位に欠ける」と批判しながらも、二国間関係の強さを強調し、大きな外交問題への発展を避けています。
インド、トランプ氏の「地球上の地獄」「ノートパソコンを持つギャング」発言後も衝突を回避
インド野党は、モディ首相がこの問題をトランプ氏に直接取り上げ、強い異議を申し入れるべきだと主張しています。 / AFP

インドのモディ首相率いる政府は、トランプ大統領がインドを「地球上の地獄」と呼んだ投稿に対し、慎重に言葉を選んだ抑制的な対応を示しました。一方、野党・国民会議派はこの発言を「極めて侮辱的だ」と強く非難し、モディ首相が「トランプ氏の前で沈黙を選んだ」と批判しました。

トランプ大統領は水曜日夜、米国内で生まれたすべての人に市民権を認める合衆国憲法の規定を批判する内容の文章をソーシャルメディアに投稿しました。文章は他者が書いたものとみられます。

投稿はIT業界のインド系移民が白人の米国生まれの人材を採用していないと批判し、英語力の不足も問題視しました。

「ここで生まれた赤ちゃんはすぐに市民権を得て、中国やインド、あるいは地球上のどこかの地獄から家族全員を連れてくる。英語はもはやここでは話されていない」と投稿には書かれていました。

投稿はさらに「今日流入している移民層にはこの国への忠誠心がほとんど見られず、以前はそうではなかった」とも記していました。

トランプ大統領の投稿は雇用・移民制度における組織的な偏向も指摘し、「インドか中国の出身でなければならない。内部の仕組みのほぼすべてがインド人と中国人によって牛耳られているからだ」と主張しました。

インド外務省のジャイスワル報道官はこの発言を「明らかに無知で不適切かつ品位に欠ける」と一蹴しました。

「この発言は、相互尊重と共通の利益を基盤として長年築かれてきたインド・米国関係の実態をまったく反映していない」と述べました。

インド系移民を両親に持つ民主党のアミ・ベラ下院議員はトランプ氏の投稿を「侮辱的で無知であり、大統領職の品位を著しく損なうものだ」と強く批判しました。

「富と特権の中に生まれたトランプ大統領は、多くの移民家族が歩んできたような苦難を経験したことがない」とベラ議員は語りました。

トランプ大統領の政権を支持してきた極右ヒンドゥー系団体「ヒンドゥー・アメリカン財団」も、この「憎悪に満ちた人種差別的な文章」に強い不快感を示しました。

「外国人嫌悪と人種差別がすでに記録的な水準に達しているこの時期に、米国大統領がこのような暴言を後押しすれば、憎悪をさらにかき立て、私たちのコミュニティを危険にさらすことになる」とX上で訴えました。

インド野党・国民会議派はトランプ氏の発言を「極めて侮辱的かつ反インド的だ」と強く非難し、モディ首相に毅然とした対応を求めました。

「しかし、これまでの言動を見る限り、モディ首相がトランプ氏の前で何かを発言するとは期待できない」と党は付け加えました。

モディ首相のトランプ氏との「友好関係」、野党の批判の矢面に

別の野党指導者マフア・モイトラ氏はモディ政権を痛烈に皮肉り、トランプ氏と個人的な親交を誇るモディ首相が実際に抗議の声を上げるのか、それとも笑って受け流すだけなのかと問いただしました。

トランプ氏の投稿がインド国内で強い反発を招いてから数時間後、米国大使館はニューデリーで「大統領は『インドは素晴らしい国であり、その頂点に私の非常に良き友人がいる』と述べている」との声明を発出しました。

モディ首相はこれまで演説や共同イベント、ソーシャルメディア、公式声明を通じてトランプ氏との個人的な親密さを繰り返し強調し、トランプ氏を自身とインドの「友人」「真の友人」「親愛なる友人」と称してきました。

こうした姿勢はトランプ氏の第1期政権(2017〜2021年)から現在の第2期政権(2025年〜)に至るまで一貫しており、両国間に貿易摩擦が生じた局面においても揺らぎませんでした。

今回の発言は、ルビオ米国務長官が来月インドを訪問する計画を控えたタイミングでのものです。通常は友好的な両国間で生じた最近の緊張を和らげることが訪問の狙いとされています。

移民の徹底的な取り締まりを看板政策に掲げるトランプ大統領は、インド人IT労働者が多く利用するビザにも攻勢をかけてきました。

さらにインドとパキスタンの紛争をめぐり、モディ首相が自身の仲介努力を軽視したことに反発し、数か月にわたってインドへの高関税を維持しました。

こうしたトランプ大統領のインドとの対立姿勢は、歴代の米大統領が数十年にわたって摩擦を回避しインドとの関係強化に腐心してきた流れとは大きくかけ離れています。インドは一部の米国政策立案者から、中国への対抗軸として重視されてきた国です。

情報源:TRT World & Agencies