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日本産水産物、中国向け輸出が再開 — 部分的な再開で段階的復活へ
木原官房長官は記者会見で、「中国市場への輸出再開は日本の水産業にとって大きな前進であり、引き続き残る地域の輸入制限や日本産牛肉への規制解除も求めていく」と述べました。
日本産水産物、中国向け輸出が再開 — 部分的な再開で段階的復活へ
日本は約2年ぶりに中国への水産物輸出を再開しました。/ 写真: AP / AP
2025年11月7日

日本政府は、中国による日本産水産物の輸入禁止措置が一部解除され、約2年ぶりに輸出が再開されたと発表しました。

中国は2023年8月、東京電力福島第一原子力発電所からの処理済み汚染水の海洋放出を理由に、すべての日本産水産物の輸入を停止していましたが、両国間の交渉を経て、今年6月に中国側が示した条件に基づき再開が実現しました。

日本政府によると、初便として北海道産のホタテ約6トンが出荷され、これが輸入再開後初の対中輸出となりました。木原稔官房長官は「中国市場への輸出再開は日本の水産業にとって前向きな動きであり、今後も輸出業者の登録審査を進めるよう中国側に求めていく」と述べました。

一方で、中国税関総署の公告では、福島県など10都県を対象外とする条件付きの再開が定められており、これらの地域産の水産物は引き続き輸入が認められていません。

再開にあたっては、日本側に衛生証明や放射性物質検査の結果、産地証明書などの詳細な書類提出が義務づけられています。

福島第一原発は2011年の東日本大震災で甚大な被害を受け、発生した汚染水は処理・希釈の上で海洋放出されています。

日本政府と国際原子力機関(IAEA)は、「放出水は国際的な安全基準を満たしており、環境や人体への影響は極めて小さい」との見解を示しています。

業界関係者は、今回の再開がホタテやナマコなど中国向けの主要品目の回復につながると期待する一方で、「完全な市場回復には時間がかかる」との見方もあります。

外交的には、処理水放出をめぐって冷え込んでいた日中関係が一部改善に向かう動きとも受け止められており、今後は輸出手続きの運用や検査体制の整備を両国が慎重に見守っていくとみられます。

情報源:AP