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クマ襲撃多発に新たな対策 射撃許可を拡大も現場は人手不足
専門家の間では、射撃規制の緩和だけでなく、野生動物と人間の距離をどう保つかという長期的な視点での対策が求められているとの指摘が相次いでいます。
クマ襲撃多発に新たな対策 射撃許可を拡大も現場は人手不足
クマの生息域が広がる一方で、狩猟者の高齢化により、住宅地にクマが現れた際に対応できる人手が減少しています。/ 写真: ロイター
2025年10月9日

日本各地でクマによる襲撃や目撃が相次いでいます。近年、気候変動や食料不足、山林と人里の境界の曖昧化などを背景に、クマが住宅地や市街地に出没するケースが増えています。こうした状況を受けて、政府は人命を守るための対応を強化し、緊急時における「射撃許可」の範囲を拡大する方針を打ち出しました。

環境省によると、2024年度のクマ関連の通報件数は過去最多となり、北海道や東北地方を中心に人的被害も確認されています。

とくにヒグマの生息域が人里に近づいており、農作物被害も深刻化しています。

これを受け、2025年に施行された改正制度では、市町村長が危険と判断した場合に、従来は禁止されていた市街地近くでの「緊急射撃」を許可できるようになりました。

狩猟者がすぐに対応できる体制を整えることが目的です。

一方で、現場では狩猟免許を持つ人材の減少と高齢化が大きな課題となっています。環境省の統計では、全国の狩猟者の約7割が60歳以上であり、若い世代の参加は年々減少しています。

ある自治体関係者は「法律を変えても、実際に動ける人がいなければ意味がない」と懸念を示しています。

また、単に射撃だけで対応するのではなく、AI監視カメラの導入やセンサー付きの電気柵設置、住民への避難訓練など、総合的な対策を求める声も高まっています。

クマ被害の拡大は、単なる野生動物問題にとどまらず、人と自然の共存の在り方を問い直すものとなっています。政府の新たな規制緩和は一歩前進といえますが、狩猟者の減少や地域格差といった根本的課題の解決が求められています。

今後、地域と行政が協力し、銃による対応に頼らない「共生型防除システム」をどのように築けるかが問われています。

情報源:毎日新聞
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