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アジア豪雨、死者1500人超 道路破損や瓦礫で救援遅れる
インドネシアとスリランカでは依然として危機的な状況が続いており、行方不明者は約900人に上っています。救助隊は孤立した地域へのアクセスに苦戦しており、生存者たちは数日間にわたり清潔な水や食料、支援を受けられない状態が続いていると訴えています。
アジア豪雨、死者1500人超 道路破損や瓦礫で救援遅れる
インドネシアで867人、スリランカで486人、タイで185人、マレーシアで3人の死亡が確認されています。 / AP
2025年12月5日

アジア各地では金曜日、壊滅的な洪水と地滑りの発生から1週間が経過する中、救助隊が命を救うための支援活動を急いでいます。今回の災害では1,500人以上が死亡し、インドネシアからスリランカにかけて多くの地域社会が壊滅的な被害を受けました。

当局によると、これまでに確認された死者はインドネシアで867人、スリランカで486人、タイで185人、マレーシアで3人とされています。

インドネシアとスリランカの多くの村では、依然として泥や瓦礫の下に埋もれたままとなっており、両国では約900人の行方が分かっていません。一方、タイとマレーシアでは復旧作業が比較的進んでいます。

洪水が徐々に引き始める中、最も被害の大きかった地域では、生存者が瓦礫の散乱する光景の中から姿を現しています。道路は寸断され、地域一帯が孤立しており、ヘリコプター以外ではアクセスができません。また、地滑りで送電塔が倒壊したことで町は数日間停電し、通信も遮断されました。

泥にのみ込まれた集落

アチェ州で最も被害が深刻なアチェ・タミアン県では、集落全体が厚い泥に覆われたままとなっています。26万人以上が避難を余儀なくされ、地滑りで家屋がのみ込まれ、農地も流失しました。

現在、孤立した地域に向けてヘリコプターによる食料や医薬品、毛布の空中投下が行われており、現地では安全な飲料水や衛生設備、避難場所の確保が急務となっています。

国家防災庁のアブドゥル・ムハリ報道官によると、物資を積んだトラックはメダンから再開通した道路を慎重に進んでいますが、瓦礫や損壊の影響で支援物資の配送は依然として難航しているということです。

アチェ・タミアンからのテレビ映像には、横転した車両、押し潰された住宅、瓦礫の間に散乱する動物の死骸など、被害の深刻さを物語る光景が映し出されています。

病院2ヶ所と地域保健クリニック15ヶ所は依然として稼働しておらず、医療チームは混雑する避難所で臨時の診療体制を余儀なくされています。医薬品やスタッフが不足する中、水系感染症の拡大が懸念されています。

簡易テントの下で避難生活

アチェ・タミアン県を流れる増水したタミアン川に架かる損傷した橋の上では、家族連れが簡易的なシートの下で身を寄せ合っています。

濡れた衣服のまま震える子どもたちもいます。生存者の一人、ヴィラさんは、数日間、食料も清潔な水もない状況を振り返り、涙ながらに語りました。

「私たちにはもう何も残っていません。捨てられたボトルで濁った水を飲み、流れてきたものを拾って飢えをしのぎました」と話しています。

別の住民アンガさんは、自身を含む14人が4日間にわたり壊れたトタン屋根にしがみついていたと明らかにしました。「洪水で村が消えてから8日が経った今も援助は届いていません。ヘリも救助隊も来ていないのです。私たちは家を破壊したその水を飲むしかありませんでした」と述べました。

行方不明者が数千人規模に上り、多くの地域が依然として孤立していることから、当局は今後数日のうちに死者数がさらに増加する恐れがあると警告しています。

情報源:TRT World and Agencies