2025年10月31日
韓国・慶州で開催中のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席している高市早苗首相は、中国の習近平国家主席と初めての首脳会談を行いました。両首脳は、建設的で安定的な日中関係の構築を目指し、意思疎通を強化していくことで一致しました。
会談は約30分間行われ、高市首相は、東シナ海や尖閣諸島周辺の情勢、レアアースの輸出管理、日本人拘束問題などについて日本の懸念を伝えました。
さらに、南シナ海や香港、新疆ウイグル自治区の状況にも言及し、「懸案や意見の相違があるからこそ、率直な対話を続けることが重要だ」と述べました。
一方、習主席は「日本は中国にとって重要な隣国であり、戦略的互恵関係を発展させたい」と強調し、政治・経済両面での関係安定化に意欲を示しました。
両者は、防衛当局間での危機管理や連絡体制の強化など、実務的な協力の重要性を確認しました。
日中関係は昨年以降、外相会談や経済対話の再開など、交流の動きが続いています。今年6月には、中国が一部の日本産水産物の輸入を再開するなど、改善の兆しも見られました。
しかし、中国国内では依然として歴史認識や台湾問題への警戒感が強く、高市政権の外交方針を慎重に見極める姿勢がうかがえます。
高市首相は会談後、「今後も習主席と対話を重ね、互いに信頼を深めていきたい」と述べました。日中双方が対話の継続を確認した今回の会談は、両国関係の安定化に向けた重要な一歩となりました。



