日本の外務省アジア大洋州局長・金井正彰氏が、中国側と高市早苗首相の台湾発言をめぐって協議するため、11月17日に北京へ向かいました。金井氏は、中国外交当局と局長級会談を行い、緊張緩和を図る狙いです。
背景と経緯
1. 高市首相の発言を巡る対立
高市早苗首相は11月7日の国会で、「台湾有事」が日本にとって「存立危機事態」に当たる可能性があり、集団的自衛権の行使もあり得るとの発言をしました。
この発言を受けて、中国政府は強く反発。特に中国外交部の劉勁松・アジア局長を含む当局者が、同件で重大な懸念を示しています。
2. 中国側からの警告と外交的応酬
中国外務省は、金井氏との会談に先立ち、日本の立場を厳しく批判する声明を出す可能性を示唆しています。
また、中国側からは、日本との人的交流に影響を与える措置も示唆されており、日本側としてはこうした動きを抑えたい思惑があります。
訪中の目的と協議内容
金井正彰外務省アジア大洋州局長は、17日に羽田から出発し、同日に北京入りしました。
18日以降、中国外務省の劉勁松・アジア司長らとの局長級会談を予定しています。
協議の主なテーマは以下の通りです:
1. 高市発言の真意の説明
金井氏は、高市首相の台湾発言が日本政府の従来の安全保障政策を転換するものではないという立場を強調する見込みです。
2. 人的・交流面の影響への懸念
立場の違いがあるとしても、日中間の人員交流を不必要に制限しないよう、中国側に冷静な対応を求める可能性があります。
3. 外交的抗議の伝達
大阪総領事のSNS投稿など、最近の中日間の言論応酬に関して、日本側は正式な抗議を行う見通しです。
今後の影響と見通し
金井氏の訪中が成功すれば、一時的な緊張緩和につながる可能性があります。特に、中国側が日本の安全保障政策の継続性を確認すれば、両国の外交チャネルが維持される道筋が作られます。
しかし、中国側が高市首相の発言撤回や謝罪を求め続ける場合、根本的な対立が残る懸念もあります。
また、この問題が日中関係だけでなく、台湾、米国などを巻き込んだ安全保障問題への波及効果を持つ可能性があり、地域的な緊張の焦点になり得ます。












