2002年9月17日、平壌で行われた日朝首脳会談で、北朝鮮は長年否定してきた日本人拉致を初めて認め、謝罪し、再発防止を約束しました。あれから23年が経ちましたが、いまも多くの拉致被害者が帰国を果たせず、家族たちは切実な声を上げ続けています。
政府が認定している北朝鮮による拉致被害者は現在17名で、2002年10月に5名が23年ぶりに帰国しました。2004年5月の第2回日朝首脳会談でも、当時帰国していた家族5名とともに、安否不明の被害者について北朝鮮側に徹底調査の再開を求める約束が交わされました。しかし、帰国した5名を除く被害者の安否については、いまだ納得のいく説明はありません。
被害者家族会や政府は、全ての拉致被害者が生存している前提で、北朝鮮に即時帰国・真相究明・拉致実行犯の引き渡しを要求しています。対応が不十分な場合は、日本政府として厳しい措置を取る方針も明確です。
1970年代から80年代にかけて、日本国内で不自然な失踪事件が相次ぎました。後に北朝鮮からの亡命者の証言や捜査によって、多くが北朝鮮による拉致である可能性が高いことが判明しました。
また、拉致を行った背景には、工作員の身分偽装や被害者の教育係としての利用などがあったと指摘されています。1997年には家族会が結成され、これまでに500万筆を超える署名が提出されるなど、国民的な関心も続いています。
被害者家族は高齢化が進んでいます。今年2月には、有本恵子さんの父・明弘さんが96歳で亡くなりました。安否不明の被害者の親世代で健在なのは、横田めぐみさんの母・早紀江さん(89)ただ一人です。
めぐみさんの弟で家族会代表の横田拓也さんは、NHKに対し「母の健康は今日元気でも明日はどうなるかわからない。政府は時間の制約を認識し、日朝首脳会談を行って全員を取り戻す覚悟を示してほしい」と訴えています。
拉致問題は依然として解決に至らず、日本政府と北朝鮮双方が具体的な行動を取ることが強く求められています。被害者と家族の再会を実現するため、時間との勝負が続いています。