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日英ギャンブル依存症会議、若年層対策強化を議論
今回の会議は、ギャンブル依存症対策を個人の問題にとどまらず、社会全体で取り組むべき重要課題であることを再確認する場となりました。
日英ギャンブル依存症会議、若年層対策強化を議論
エドワード王子とソフィー妃が日本の皇室と会見しました。 / 写真: AP
9時間前

2025年9月21日、東京都千代田区で「日英ギャンブル依存症国際会議」が開催され、オンラインカジノやデジタルプラットフォームによるギャンブル依存症対策について議論が行われました。

日本とイギリスから約500人の専門家、支援者、そしてギャンブル依存症による自殺被害者の遺族らが参加し、特に若年層への支援強化の重要性が再確認されました。

一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表理事は、「スマートフォン一つでギャンブルができる前例のない状況に直面している」と述べ、若年層への影響の深刻さを指摘しました。

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イギリスから参加したリズ・リッチーさんは、20歳の息子をギャンブル依存症による自殺で失った経験を語り、「息子を失ったことで人生の色がすべて失われたように感じる」と述べ、ギャンブル依存症対策は社会全体で取り組むべき問題であると訴えました。夫のチャールズ氏も同席しました。

続くシンポジウムでは、読売新聞グループ本社の山口寿一社長も参加し、国内で年間約6.5兆円が海外スポーツを対象とした違法賭博に使われていることを指摘。また、山口社長は「ヨーロッパ各国はスポーツイベントの八百長防止を目的とした『マコリン条約』を批准しており、日本も批准し適切な体制を整備すべきだ」と述べました。

さらに、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存研究部長は、ギャンブル依存症患者には自殺傾向が顕著であることを指摘。「支援が届かないことで被害者が取り残されないよう、適切なサポート体制が不可欠です」と警鐘を鳴らしました。

2030年に大阪で開業予定の統合型リゾート(IR)カジノについても、参加者は若年層やデジタル世代への影響を考慮し、強固な規制と包括的な支援策が必要であるとの認識を共有しました。

今回の会議は、ギャンブル依存症対策を個人の問題にとどまらず、社会全体で取り組むべき重要課題であることを再確認する場となりました。

参加者たちは、法制度の整備、国際条約の批准、若年層への教育・支援策などを通じて、依存症の被害を最小限に抑える取り組みを強化する必要性を訴えました。

情報源:読売新聞